絵本の読み聞かせの効果は色々あると言われていますが、読書歴30年の私が、子どもに毎月読み聞かせする中でこれは「頭が良くなるかも!?」と思った幼児向け知育系絵本をご紹介します。
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声にだすことばえほんシリーズ(ほるぷ出版)
過去の名著の一節を取り上げ、子どもが興味を持つような絵を添えて、日本語の面白さ、美しさに気づかせてくれる絵本シリーズ。
Eテレの「にほんごであそぼ」の企画・監修をする教育学者の斎藤孝さんが監修しています。
平家物語や「しらざぁいってきかせやしょう」といった歌舞伎の一節など、原文のままなので「子どもには難しすぎる?」と思われるんですが、子どもは意味がわからなくても、なんだか面白そうと思えば、おとなしく聞いてくれるんです。
日本語が美しい絵本はたくさんあると思いますが、古典はとくに、時代を超えて愛されてきた、おりがみつきの名文の宝庫。
意味はわからなくても、自然と覚えてしまう。
韻を踏んでいたり、相性のよい言葉同士が紡がれて、まるで歌のように耳に心地いいフレーズ。
それは大人にとっても奇跡的な経験です。
大人もそうですが子どもにとっても、意味がわからなくても、響きが美しければ、そして絵が面白ければ、いいーんです!
耳が心地よいと感じ、口ずさんでまた心地よいと感じれば、それでOK。
現在、声にだすことば絵本シリーズは「しらざぁいってきかせやしょう」「生麦生米生卵」「吾輩は猫である」など全部で17冊刊行されていますが、どれも面白かったり、名文を扱った題材ばかり。
まずは親が「読んでみたいな」というものを直観的に選んで、読み聞かせしてあげるといいと思います。
予算に余裕があるなら、何冊かまとめて大人買いして、子どもの興味関心がどこにあるのか探ってみるのもおすすめ。
何から買っていいかわからないという人には、落語「寿限無」をおすすめします。
これはもともとナンセンスな言葉の羅列で、わけがわからないけど、なんだかユーモラス。
大人も子どもも関係なく、楽しめます。
私は息子に4歳になったあたりで読みましたが、この「寿限無」に関してはもっと小さい頃でも、2歳くらいからでも良かったと思います。
次におすすめなのは、「祇園精舎」。
「ぎおんしょうじゃのかねのこえ しょぎょうむじょうのひびきあり」で始まる平家物語の冒頭部分の抜粋です。
これは親世代にとっては学校で習って、なじみの深いフレーズ。
私もリズミカルにテンポよく読める上、息子にはこの絵本の山本孝さんの絵がヒット。
一見すると、おどろおどろしい場面もあったりするんですが、子どもの「怖いけど見たい」という気持ちをくすぐるようで、何度も「読んで」と持ってきました。
山本孝さんの、怖さの中に、可笑しさだったり温かさがある絵の力で、子どもがぐっと物語の中に引き込まれていくのを実感しました。
古典の予習にもなりますが、そういうことは考えなくても、単純に楽しめるところがこのシリーズの良いところです。
ことばの説明などは後回しにして(質問されたらでいいと思います)、まずはお子さんと一緒に何度も読んでことばの響きを楽しみましょう。
しぜんにタッチ!シリーズ(ひさかたチャイルド)
しぜんにタッチ!シリーズの「ぎゅうにゅう だいへんしん!」「のりができるまで」「へんしんだいずくん」は子どもが大好きで身近な食べ物、チーズや海苔、お豆腐がどのようにして作られるのか、作り方を写真で説明している絵本。
親も改めて「へぇ~」と感心しながら読めて、子どもも原材料が次第に「変身」していく姿に興味津々になってくれます。
これを読んだ4歳の息子は「ぎゅうにゅう だいへんしん!」を読んだからか、先日テーブルの上のヨーグルトとチーズと牛乳を見て、「これもこれも牛乳からできているんだよ」と言っていました。
原材料と、加工品。
”モノ”は全て何かから”作られて”いるんだ、ということがわかるようになることで、物の素材だとか製造工程だとかに興味を持ってくれるようになっていったらいいなと思います。
これは子どもの科学的好奇心をふくらませてくれる絵本シリーズではないでしょうか。
しぜんにタッチ!シリーズは食べ物に限らず自然科学系の色々なテーマがあるので、「うちの子は食べ物よりも虫に興味がありそう」という方は、虫をテーマにした絵本、というように選べるのがいいですね。
たくさんの不思議傑作集(福音館書店)
「ぐりとぐら」や「はじめてのおつかい」など、親世代の私も読んだ絵本の永遠のベストセラーを数多く生み出している福音館書店。
対象年齢0才から年長までの月刊絵本「こどものとも」や3歳から年長までの「かがくのとも」など、乳幼児が親しみやすい絵本の定期購読も行っている出版社です。
幼稚園にお子さんを通わせている方は、絵本代としてこういった月刊誌の定期購読の代金を徴収されている方も多いのではないでしょうか。
我が家が利用していたのは絵本のあっせんなどが全くない保育園だったので、自費で3~5歳向け「ちいさなかがくのとも」を定期購読していました。
毎月440円で書き下ろしの絵本が1冊、薄い小冊子の形態で届きます。
私が選ぶとどちらかというと物語(フィクション)絵本に偏るため、定期購読は「こどものとも」ではなく「かがくのとも」にしました。
7ヶ月ほど講読していました。テーマがしゃぼん玉や昆虫、メダカなど子どもに身近なもので、とても良かったと思います。
5歳くらいになって、少し内容的に物足りなくなってしまい、講読は終了しました。もう少し早く始めれば良かった。。。
年中、年長になると、その子の興味があるものなら、大人も「へ~」と思うような知識のつまった本を好むようになるので、ここで知育絵本としておすすめするならば、福音館書店の同じ月刊誌でも、幼児向けではなく、対象年齢が小学校3年~の「たくさんのふしぎ」シリーズです。
幼児向け絵本に比べて、ぐっと文章が長くなり、内容も難しい部分がありますが、基本的に全編絵や写真がベースの”絵本”ですし、年中・年長になれば、理解力がついてくるので、情報量として、これぐらいでも十分ついていけるというのが、私の実感です。
定期購読誌ですが、さすがに幼児が定期購読するには、難しい号もあると思うので、私は過去の「たくさんのふしぎ」の中の良書を再出版した「たくさんのふしぎ傑作集」の中の、幼児でも読めそう&息子が好みそうなテーマのバックナンバーをアマゾンやブックオフオンラインで、探して購入しています。
私が読み聞かせして子どもに受けたのが「石の中のうずまきアンモナイト」「おじいちゃんのSLアルバム」でした。
アンモナイトにSL、それぞれの魅力をこどもにわかるようになるべく簡単な言葉で説明していて、子どもも夢中になっていました。
もともと小学生が一人で読む用なので、文章量があり、1冊全部を一度に読み聞かせするには大人も幼児も疲れるので、1冊の本を2~3回に分けて読みます。
知育を意識するならば、こういう少し対象年齢が上のものを読んであげて、知識欲をおおいに刺激してあげたいなと思います。
「たくさんのふしぎ傑作集」の中に、お子さんが興味を持ちそう(または親が面白く読めそう)な本があるか、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。
まとめ
「たくさんのふしぎ傑作選」以外の二つは、2~3歳くらいから興味を持つお子さんも多いと思いますので、3歳以下のお子さんをお持ちの親御さんは「まだ早い」と思わずに、気楽な気持ちで読み聞かせしてみてはいかがでしょうか。
また、年中・年長さんになると大分理解力がついてきますので、就学前教育の一環として、お子さんが好きそうなテーマのちょっと難しめの絵本(児童書)を読み聞かせてあげると、子どもの語彙や世界がぐっと広がると思います。