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学校に行かせることがこんなに大変なんて!
息子が就学して初めて知りました。学校に行くことがこんなに大変な子がいることを。
息子は多動・衝動性といったADHDの傾向があり、今の小学校の、リスク回避第一の管理教育の中では、最も(?)厄介者扱いをされるタイプ。
入学時は学校側からクレームが来、その対応に追われ、2年生になると本人が「体育が嫌だ」「学校がつまらない」と行き渋りが強くなりました。
その時に不登校のリスクをとても身近に感じて、できるだけ家庭で支援できることはないだろうか、真剣に考える機会がありました。
そして、我が家の不登校予防として、いくつかのことを積極的に行うようにしました。その後、行き渋りは改善。不登校予防として取り組んだことは決して無駄ではなかったんだと思っています。
もちろん、我が家も不安が全くなくなったわけではありませんが、同じように不安を抱えている保護者の方の参考になれば幸いです。
[不登校予防]1.学校への申し入れ
少数派だからこそ意見を聞いてもらう
私は、子どもが学校に行けなくなってしまう行き渋りや不登校の本質は、学校と子どものコミュニケーション不全だと思っています。
学校は、そもそも下記憲法で掲げられている理念を実現するための実行機関ですし、
第1項 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
日本国憲法第26条
小学校は、心身の発達に応じて、義務教育を施すところです。
小学校は、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを施すことを目的とする。
学校教育法第 29条
この心身の発達に応じてとあるのは、心身の発達というのは個人差が大きいわけですから、1年生~6年生に分けて各段階で指導内容を変えていくという意味だけでなく、色々な特性を持った子ども達の、それぞれの心身の発達に学校が合わせていく、という意味ももちろん含んでいると私は考えています。
もちろん実際の学校現場は予算不足、人材不足でキメ細かい教育がとてもできる状況にないというのはわかります。でもたった1人の子どもでも教育を施せないとしたら、義務教育の学校の存在する意味がないですよね?
だから、子どもが学校に行きたくない、と言うことが続いたら、まず学校に相談して、どういう状況なのかを確認します。
学校が動いてくれるまで、あきらめない
不登校につながりそうな雰囲気を感じたら、学校と話して対応を改善してもらいます。
ところが、すぐ対応してくれない場合もあり得ます。
私も担任の他に学年主任、スクールカウンセラー、特別支援教育担当の先生、教育委員会の相談窓口などいろいろな関係者と話しました。本当はこんなに色々な人と話したくはなかったのですが、学校という組織の特徴なのか、責任の所在が曖昧だったり、言っていることがチグハグで私の知りたいことにたどり着くのに時間がかかりました。
担任が話を聞いてくれなかったり、解決につながる行動をしてくれなければ学年主任へ。それもダメなら教頭や校長へ。校長まで行ってもダメなら教育委員会の担当者へ。
相手を変えるだけでなく、方法(口頭、文書、関係機関からの口添えなど)を変える、などあの手この手で改善を要求し続けることです。どこかで誰かの心を動かし、誰かが動いてくれるのを信じましょう。
はっきりと状況が変わるまで、絶対にあきらめないという気概が必要だと思います。
[不登校予防]2.子どもへのアプローチ
一方で、家庭でも学校に行きやすくなるような環境を整えることを心がけています。
具体的にやっているのは以下のことです。
「タダで色々なことを教えてもらえるのは、アナタが国の宝だから」
私の学校に対するスタンスを、言葉にして伝えるようにしています。
例えばこんな感じです。
「お母さんは〇〇(息子の名前)みたいにすぐには物事を覚えられないんだよ。覚えても忘れちゃうことも多いし。大人は頭が固いから子どもみたいに覚えることができない。子どもは吸収力があって、大人の何倍も早いスピードで色んなことを覚えられる。だからこれから何にでもなれる。
色んなことを覚えた子ども達は、将来社会でたくさんの人を助けることができる。
だから国は、学校に子どもを集めて、無料で色々なことを教えているんだよ。
でも、もちろん全ての子どもが学校に行けるわけではないんだよ。病気になったら病院に入院しなきゃいけないし、〇〇も病気のときは学校を休まないといけない。
だから健康で、学校に行って最後まで授業を受けて帰ってこれるってことはすごくラッキーなことなんだよ!」
書いてみると長いしクドイですが(笑)
「宿題をしたらゲームをしていいよ」
我が家では放課後は学校の宿題が終わったら、ゲームかYouTubeの動画を見ていいというルール。私が決めましたが、本人も納得していて、学校+宿題をやりとげるモチベーションの一つになっているようです。
おもちゃで釣るのはよくない、という考え方もあると思いますが、大人の仕事もお金がもらえるからやっている要素が大きいわけで、子どもも報酬のために頑張ることができるのなら、そうしてもいいと思います。
学校でのつまずきに寄り添う
子どもが学校でつまずいていることに、関心を寄せ、一緒に考えること。
子どもは日々色々な思いを抱えて帰ってきます。体育がうまくできなくて落ち込んでいたり、算数の計算がわからなくてイライラしていたり、お友達の一言に傷ついていたり。。。
体育や勉強であれば、一緒に練習し、人間関係であれば息子の気持ちに寄り添いつつ、相手の気持ちにも気付かせるよう話してみます。
習い事(ロボット教室)をさせる
ロボット製作教室に通い、本人が好きなことを学ぶ機会を作っています。
〉〉〉ブロック好きのADHD児がロボット教室に通うべき理由。
学校で「苦手なことを頑張る」だけじゃなくて、好きなことをして、家族以外の人に褒められる、認められるという経験も積み重ねていってほしいと思います。
学校以外での成功体験が、学校でのチャレンジにつながるといいな、と思いつつ。。。
放課後は子どもの好きなもので出迎える
子どもの好きなお菓子でも、子どもの好きなキャラクターを描いたイラストでも何でもいいのですが、子どもが喜ぶものを何か一つ用意するようにしています。
お菓子やイラストの他に100均で買ってきた工作グッズのこともあるし、図書館から借りてきた本のこともあるし、母が作ったLaQやレゴの作品であることもあります。
学校から帰る=いいことがある、という印象をつけたいし、”自分のことを第一に考えてくれる”家庭の良さを実感してほしいです。
「学校から帰ってきたら一緒に〇〇しよう」
私は子どもと遊ぶのが下手なタイプですが、そんな私でも、息子にとっては「帰宅後自分の相手をしてくれるたった一人の人」。いつも「一緒に遊ぼう」と言ってくれます。
家事や雑事でなかなか息子の要望通り遊んでいるとは言えないのですが、できるだけ朝、登校前に「学校から帰ってきたら一緒にブロックで基地を作ろう」とか「一緒にレゴでお家作ろう」と積極的に遊びのお誘いをするようにしています。
学校の先に楽しいことがある、という見通しが立てば、頑張れるということもあるようです。
↓レゴのレシピブックは、創造力がない私の強い味方です。
「抱っこしよう」「手遊びしよう」スキンシップを心がける
もともと子育てをしていて、スキンシップが大事だということは直観的に感じていました。
さらに発達障害児に関する支援の勉強(児童発達支援士資格)で、触覚や運動感覚などを使う親と子の日常的な遊びを通して感覚統合を促していく考え方を知りました。
感覚統合は、複数の感覚を整理したり、まとめたりする脳の働きのことです。
感覚統合を鍛えるという方法は、アスリートのトレーニングでも注目を浴びている分野ですが、発達障害児にとっては、行動や感情のコントロールの改善に役立つ効果があるのです。
息子も、登校前の忙しい時間に落ち着きなく動き回ってしまうことが。そんなとき、ハグや手遊びなど、少しの間でもスキンシップをすると、落ち着きを取り戻します。
脳の発達に伴って思春期までには感覚統合は自然と進んでいくとのことではありますが、スキンシップには親子にとっての癒し効果もあるので、もうしばらくは続けていこうと思っています。
役立ちそうな本をそっと置く
学校でうまくいかないことがあっても、気にしないでほしい。また、学校生活を楽しく送るためのヒントを得てほしい。
という思いから、参考になりそうな本があったら、息子の目につくところに置いています。
イラストやマンガがメインの読みやすそうな本を選んでいるため、こちらが何も言わなくても一人でもどんどん読んでいます。
感想を言われたことはありませんが、じっと集中して読んでいる姿、そしてその後の学校への向き合い方を見ていると、少なくとも息子の役には立っているんだろうな、と思っています。
以下の3冊は特におすすめです。
コメディ感満載でインパクトのあるイラストが子ども心をくすぐるようです。文章量多めですが総ルビなので、低学年でも読めます。大人の(失敗だらけの)私も、読むと慰められます(笑)
発達障害児は学校でルールやマナーを守ることができない、と言われます。発達がゆっくりだったり、独特な感じ方をしているためで、ルールを”型”として身に着けることが人一倍難しい。この本はルールを守らないとこうなる、という具体例をマンガでわかりやすく伝えてくれて、子どもの納得感が大きいと思います。
「学校では教えてくれない大切なこと」の友だち関係シリーズは3冊(3部作?)あって、うちには「学校では教えてくれないこと 2 友だち関係~自分と仲良く~」もありますが、同級生との関係性が気になる場合には、こちらの「考え方の違い」の方が子どもの心に刺さることが多いかな、と思います。「意見が違うと、仲良しでいられないかもしれないから、不安」「自分の意見に賛成してくれなくて腹が立つ」といった状況をどう捉えればいいか、マンガでわかりやすく教えてくれています。
「今日も1日がんばったね。〇〇のおかげでお母さんもお仕事頑張れたよ。ありがとう」
寝る前に、息子に今日健康で学校に行ってくれたこと、あきらめずに取り組んでくれた感謝を伝えるようにしました。
これは息子が保育園のときの習慣を復活させたものでもあります。〇〇(息子の名前)がみんなと仲良く遊んでくれたから、お母さんも安心してお仕事できたよ。と言っていました。
息子に感謝を伝えることで、私自身も、自分の1日をより肯定的に、充実感をもって終えられることができます。
まとめ
我が家の不登校予防についてまとめてみました。
記事を書きながら、改めて発達障害の特性をもつ息子が学校に行くということは決して当たり前ではなく、学校や息子の努力あってのものだと感じました。
息子には人一倍勇気を必要としたり、辛い思いをして疲れるからこそ、家庭ではその苦労に感謝する気持ちをしっかりと形にして表していきたいと思います。
これからも、日々ちょこっとずつ学校に気持ちよく行けるようなことが続けていけたらいいなと思っています。